音楽高校と普通高校、どちらに進むべき? 迷っている中学生へ

吉川 采花
音楽高校と普通高校、どちらに進むべき? 迷っている中学生へ

音楽が好きで、これからも続けたい。でも、高校は音楽高校に行くべきなのか、それとも普通高校で音楽を続けながら勉強もするべきなのか――中学生にとって、これは本当に悩ましい選択です。

しかも、この選択は「なんとなく」では決められません。音楽高校に進むなら、受験の準備を早く始める必要があります。かといって焦って決めて、後から「やっぱり違った」となるのも避けたい。

この記事は、そんな岐路に立つあなたのために書きました。 どちらが正解かを決めつけるのではなく、あなた自身が納得して選べるように 、両方の道を正直に並べていきます。音楽を教えてきた立場から見える景色も、あわせてお伝えします。

まず知っておきたい:これは「才能」で決める話ではない

最初に、大事なことをお伝えします。「音楽高校に行くほどの才能が自分にあるだろうか」と悩んでいる人は多いのですが、 この選択は、才能があるかないかで決めるものではありません。

音楽高校は「天才だけが行く場所」ではなく、「音楽を軸に高校生活を送りたい人が行く場所」です。逆に、普通高校に進んでもプロの音楽家になった人はたくさんいます。つまり、どちらを選んでも音楽の道は閉じません。

決め手になるのは才能ではなく、 「これからの3年間を、どう過ごしたいか」 という、あなた自身の気持ちのほうです。それを踏まえて、両方の道を見ていきましょう。

音楽高校という道

メリット

専門的なレッスンが、学校生活の中心にある 音楽高校では、専攻する楽器の実技レッスンや、ソルフェージュ、音楽理論といった専門科目が、カリキュラムの柱として組まれています。毎日のように音楽に打ち込める環境は、普通高校では得がたいものです。

同じ志を持つ仲間に囲まれる まわりは全員、音楽に真剣な生徒たちです。 切磋琢磨できる仲間の存在 は、想像以上に大きな支えになります。演奏を聴き合い、刺激し合える環境は、上達の速度を確実に変えます。

音大への進学がしやすい 音楽大学の受験を見据えたとき、音楽高校のカリキュラムはそのまま準備につながります。受験に必要な実技やソルフェージュを、学校で日常的に鍛えられるのは大きな強みです。

気をつけたいこと

一般教科の時間は、普通高校より少なくなる 専門科目に多くの時間を割くぶん、国語・数学・英語などの授業時間は、普通高校より少なくなります。将来、音楽以外の進路も考えたくなったとき、この差が気になる場面があるかもしれません。

「音楽の道」に早くから軸足を置くことになる 音楽高校を選ぶということは、比較的早い段階で音楽中心の人生設計に踏み出すということです。これは覚悟であり、魅力でもありますが、まだ気持ちが定まっていない人には、重く感じられることもあります。

通える範囲に学校があるとは限らない 音楽高校は数が限られています。自宅から通えるかどうか、寮に入る選択肢はあるか、現実的な条件も、早めに調べておく必要があります。

普通高校という道

メリット

進路の選択肢を、広く残せる 普通高校の最大の強みは、 将来の可能性を絞り込まずにおける ことです。音楽を続けながらも、大学で別の分野を学ぶ道、音楽と何かをかけ合わせる道など、いろいろな未来が開かれています。高校生活の中で興味が変わることも、十分にあり得ます。

音楽は「続けられる」 普通高校に進んでも、音楽をやめる必要はまったくありません。放課後や休日に、レッスンに通い続けている人はたくさんいます。吹奏楽部やオーケストラ部に打ち込む道もあります。 「普通高校=音楽をあきらめる」ではない のです。

一般教科をしっかり学べる 幅広い教科を学ぶ時間が確保されているので、学力の土台を固められます。これは、将来どんな道に進むにしても、無駄になることのない財産です。

気をつけたいこと

音楽の専門的な訓練は、自分で確保する必要がある 学校のカリキュラムに専門レッスンは含まれないため、音楽を深めたいなら、学校の外で自分から学ぶ姿勢が求められます。 勉強と音楽を両立させる自己管理 が必要になります。

音大受験をするなら、計画的な準備がいる 普通高校から音楽大学を目指すことは、可能です。ただしその場合、実技やソルフェージュの準備を、学校の外で計画的に進めておく必要があります。「気づいたら準備が間に合わなかった」とならないよう、早めの情報収集が大切です。

後悔しないために、自分に問いかけたい5つのこと

どちらの道にも、良い面と気をつけたい面があります。最後の決め手は、あなた自身の中にあります。次の5つを、自分に問いかけてみてください。

1. 音楽は、あなたにとって「中心」か「大切な一つ」か 毎日の生活の真ん中に音楽を置きたいのか、大切にはしたいけれど他のことも同じくらい大事なのか。ここが、いちばん根本的な分かれ道です。

2. 音楽以外に、今の時点で興味があることはあるか まだいろいろなことに興味があるなら、選択肢を広く残せる普通高校が合うかもしれません。

3. 将来、音楽を仕事にしたい気持ちはあるか はっきりとプロを志すなら音楽高校が近道です。ただし、普通高校からプロになる道も閉じてはいません。

4. 自分は、環境に引っ張られて伸びるタイプか、自分で進めるタイプか 仲間に囲まれると意欲が高まるなら、音楽高校。マイペースにコツコツ進めるのが得意なら、普通高校でも音楽を深められます。

5. その選択を、家族と十分に話し合えているか 通学や費用など、家族の理解と支えが欠かせません。一人で抱え込まず、必ず話し合ってください。

大切なのは「どちらを選んでも道は続く」ということ

ここまで読んで、それでも迷いが消えないかもしれません。それは、あなたが真剣に自分の人生を考えている証拠です。

覚えておいてほしいのは、 音楽高校でも普通高校でも、音楽を続ける道は、どちらにも続いている ということです。片方を選んだら、もう片方の可能性が完全に消えてしまうといった単純な話ではありません。大切なのは、どちらを選んだかよりも、選んだ場所で、あなたがどう過ごすかです。

そして、迷ったときこそ、 先生や、専門家に相談してみてください。 あなたの演奏や取り組みを間近で見てきた人だからこそ言える、具体的なアドバイスがあります。ネットの一般論より、あなたを知っている人の言葉のほうが、ずっと役に立つはずです。

まとめ

  • 進路は 才能で決めるものではなく 、これからをどう過ごしたいかで決める
  • 音楽高校は 専門環境と仲間 が魅力。ただし一般教科の時間は少なめ
  • 普通高校は 選択肢を広く残せる 。音楽は続けられるが、専門訓練は自分で確保する
  • 決め手は、 音楽が「中心」か「大切な一つ」か という自分の気持ち
  • どちらを選んでも道は続く。 迷ったら、あなたを知る先生に相談を

Academy Customize では、進路に悩む中学生の相談にも応じています。音楽高校の受験に向けた実技やソルフェージュの準備はもちろん、普通高校に進みながら音楽を深めたいという方のサポートもしています。「どちらがいいか、まだ決められない」という段階でのご相談も歓迎です。まずは、あなたの今の気持ちを聞かせてください。

吉川 采花
Author
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。
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