左手を柔軟にする

ヴァイオリン・ヴィオラの腕をほぐす練習

吉川 采花
左手を柔軟にする ― ヴァイオリン・ヴィオラの腕をほぐす練習

「ポジション移動がスムーズにできない」「ヴィブラートがうまくかからない」――そんなお悩みを抱えていませんか?その原因の多くは、 左手や腕がこわばって、柔軟に動けていない ことにあります。今日は、左手の動きをほぐして柔軟にする練習法をお伝えします。

この練習は、 ヴァイオリンとヴィオラに共通 して使えます。どちらも顎と肩で楽器を支え、左手を同じように使う構えなので、まったく同じやり方で取り組めます。ヴィオラは楽器が大きく、腕を動かす範囲も少し広くなるぶん、腕全体を柔らかく使う意識が、より大切になります。なお、 この練習では弓は使いません。 楽器 (と左手) だけで行います。

練習の手順

楽器を構え、1〜4の指を、軽く指板の上に置きます。指は置いたまま、次の動きをゆっくり行っていきましょう。

  1. 手首を、ヘッド (渦巻き側) の方へ出します
  2. 手首を、自分の方へ引っ込めます
  3. 肘を、内側へ伸ばします
  4. 肘を、外側へ伸ばします
  5. 上の4つの動きの地点を通るように、腕をぐるりと回します
  6. 時計回り・反時計回り、両方向に回してみましょう

指を指板に軽く置いたまま、手首と肘を大きく動かして、腕全体で円を描くイメージです。ぎこちなくても構いません。繰り返すうちに、だんだんなめらかに回せるようになっていきます。

いちばんのポイント: 肩甲骨から動かす

この練習で最も大切なのは、 手先だけでなく、肩甲骨から動いていることを意識する ことです。手首や肘だけを動かそうとすると、動きは小さく、こわばったままになります。動きの出発点を肩甲骨に置くと、腕全体がしなやかに連動し、可動域がぐっと広がります。

確認のコツ

右手で、自分の左の肩甲骨を触りながらやってみましょう。腕を回したときに、肩甲骨も一緒に動いているのが感じられますか? もし肩甲骨がほとんど動いていなければ、手先だけで動かしているサインです。肩甲骨から動かす意識に切り替えてみてください。

この柔軟性が、演奏に活きる

なぜ、この練習が大切なのでしょうか。ポジション移動も、ヴィブラートも、左手と腕がしなやかに動けることが土台になっています。腕がこわばっていると、ポジション移動はぎくしゃくし、ヴィブラートも硬い揺れになってしまいます。

逆に、手首・肘・肩甲骨が柔らかく連動するようになると、ポジション移動はなめらかになり、ヴィブラートも自然な揺れが生まれます。「柔軟な左手」は、表現力そのものを支えているのです。

参考文献: 『みるみる音が変わる! ヴァイオリン骨体操』矢野龍彦・遠藤記代子 共著 (音楽之友社)

まとめ

  • ポジション移動やヴィブラートの悩みは、 左手・腕のこわばり が原因のことが多い
  • 弓を使わず、指を指板に置いて 手首・肘を4方向に動かし、腕を回す
  • いちばんのポイントは 肩甲骨から動かす こと
  • 肩甲骨を触りながら行うと、連動が確認できる
  • これは ヴァイオリン・ヴィオラに共通 する練習

左手の柔軟性は、一朝一夕には身につきませんが、毎日少しずつほぐしていくことで、着実に変わっていきます。弓を使わずにできるので、ちょっとした空き時間に取り入れてみてくださいね。

左手が柔らかく動くようになったら、あわせて左手の力みを解消する も取り組んでみてください。「ほぐす (柔軟性)」と「脱力 (力み解消)」の両面から整えると、左手はさらにスムーズに動くようになります。また、この練習の鍵である「肩甲骨から動かす」感覚は、右手 (弓) にも同じように大切です。肩甲骨から動かすために もあわせてご覧ください。

Academy Customize では、ヴァイオリン・ヴィオラのいずれも、それぞれの専門家が指導しています。柔軟な体の使い方は、実際に見てもらいながら覚えるのが近道です。「ポジション移動が苦手」「ヴィブラートが硬い」といったお悩みは、ぜひ体験レッスンでご相談ください。

吉川 采花
Author
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。
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