「絶対音感があると音楽が上手になるって本当?」
「相対音感って何?」
「大人になってからでも音感は身につくの?」
音楽を始めようと思ったとき、一度は「音感」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
テレビ番組では、ピアノの音を一音聴いただけで「これはファ♯!」と答える人が紹介されることがあります。
そのような場面を見ると、「絶対音感がある人は特別なんだ」と感じるかもしれません。
しかし、実際に演奏するうえで本当に大切なのは、絶対音感なのでしょうか。
今回は、「絶対音感」と「相対音感」の違いや、それぞれの特徴、後から身につけることができるのかについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
そもそも音感とは?
音感とは、 音の高さや音と音の関係を聴き分ける能力 のことです。
音楽を演奏したり歌ったりするときには、
- 音が高いか低いか
- 音程が合っているか
- メロディが正しく歌えているか
などを判断する必要があります。
そのため、音感は楽器の種類に関係なく、すべての音楽活動の土台となる力です。
音感にはさまざまな種類がありますが、特によく知られているのが
- 絶対音感
- 相対音感
の2つです。
絶対音感とは?
絶対音感とは、 基準となる音を聴かなくても、単独で鳴った音の高さを判別できる能力 です。
例えばピアノで「ソ」という音を一音だけ鳴らしたときに、
「今の音はソですね」
と答えられる能力を指します。
これは、音の高さそのものを記憶しているような状態です。
そのため、
救急車のサイレン
電子レンジの音
駅の発車メロディ
などの日常生活の音でも、
「これはラだ」
「今の音はミ♭くらいかな」
と感じる人もいます。
テレビなどで紹介されることが多いため、「絶対音感=音楽が得意な人」というイメージを持つ方も少なくありません。
相対音感とは?
一方、相対音感 音と音の関係を聴き取る能力 です。
例えば最初に「ド」を聴いたあと、次に鳴った音が「ソ」であれば、
「ドから完全5度上の音だ」というように判断します。
つまり音そのものではなく、 基準の音との距離 を聴き取る能力です。
実は、多くの演奏家が演奏中に使っているのはこちらです。
楽譜を見ながら演奏するときも、
「この音から3度上」
「ここは半音下がる」
というように、音同士の距離を感じながら演奏しています。
絶対音感があると演奏は上手になる?
答えは、 必ずしもそうではありません。
もちろん、絶対音感には多くのメリットがあります。
例えば、
- 楽譜がなくても音を聴き取れる
- 耳コピがしやすい
- 音程のズレに気付きやすい
などです。
しかし、絶対音感があるだけで演奏技術が身につくわけではありません。
リズム感
表現力
美しい音色
フレージング
などは、日々の練習によって身につけていくものです。
実際、世界で活躍する演奏家の中にも、「絶対音感はない」と話している方は少なくありません。
むしろ大切なのは相対音感
音楽を演奏するときに欠かせないのは、 音と音のつながりを感じる力 です。
例えば、ド・ミ・ソという和音を聴いたとき、
「これは明るい響きだ」
「長三和音だ」
と感じ取れること。
あるいは、メロディが ド → レ → ミ と上がっていく流れを自然に理解できること。
これらは、相対音感が大きく関わっています。
オーケストラや室内楽では、周りの演奏を聴きながら自分の音程を合わせたり、ハーモニーを作ったりします。
このような場面では、一つひとつの音名を当てる力よりも、 他の音との関係を感じ取る力 が重要になります。
絶対音感は後から身につけられる?
「大人になってから絶対音感を身につけることはできますか?」という質問もよくいただきます。
現在の研究では、 幼少期(一般的には6歳前後まで)に継続して音と音名を結び付ける学習を行うことで、絶対音感を身につけやすい と考えられています。
そのため、大人になってから新たに絶対音感を獲得することは簡単ではないとされています。
一方で、「絶対音感がないから音楽は楽しめない」ということは決してありません。
実際、多くの演奏家は、絶対音感よりも相対音感を活用しながら演奏しています。
音楽を楽しむうえで大切なのは、絶対音感の有無ではなく、「音をよく聴く習慣」を身につけることです。
相対音感は何歳からでも伸ばせる
相対音感は、子どもだけでなく大人になってからでも十分に鍛えることができます。
例えば、
- 楽譜を見ながら歌う
- 音階(ドレミファソラシド)を歌う
- 簡単な聴音をする
- 楽器で弾いた音を声に出して歌う
といった練習を続けることで、少しずつ音同士の関係を理解できるようになります。
ヴァイオリンのレッスンでも、
「少し高いかな?」
「今の音は低く感じるね。」
というように耳を使いながら音程を調整する場面がたくさんあります。
この積み重ねによって、相対音感は自然と育っていきます。
ヴァイオリンは音感が育ちやすい楽器
ヴァイオリンには、ピアノのような鍵盤やギターのようなフレットがありません。
そのため、指を少し動かすだけで音程が変わります。
美しい音を出すためには、
「今の音は少し高い」
「もう少し低くしよう」
と耳で確認しながら演奏する必要があります。
この「聴いて、修正する」という繰り返しが、音感を育てる大きな理由の一つです。
もちろん、ピアノでも音感は十分に育ちます。
しかしヴァイオリンは、自分で音程を作る楽器だからこそ、耳を使う機会が非常に多いという特徴があります。
絶対音感がなくてもプロになれる?
答えは もちろんなれます。
実際に世界で活躍している演奏家の中にも、「絶対音感は持っていない」と公言している方は少なくありません。
プロとして活躍するために必要なのは、
- 美しい音色
- 正確なリズム
- 豊かな表現力
- 相手と音を合わせる力
- 音楽を伝える力
など、さまざまな能力です。
絶対音感は、その中の一つの能力に過ぎません。
「絶対音感がないから音楽には向いていない」と考える必要はまったくありません。
子どものうちに音楽を始めるメリット
絶対音感だけに注目するのではなく、幼い頃から音楽に親しむことには多くのメリットがあります。
例えば、
- 音楽を楽しむ習慣が身につく
- 音程やリズムへの感覚が自然に育つ
- 集中力や表現力が養われる
- 継続して努力する力が身につく
といったことが期待できます。
また、小さなお子さまは耳が柔軟なため、美しい音色や正しい音程を自然に吸収しやすい時期でもあります。
だからこそ、「絶対音感を身につけること」を目標にするのではなく、「音楽を楽しみながら耳を育てること」を大切にするのがおすすめです。
まとめ
絶対音感と相対音感は、どちらも音楽を楽しむための大切な能力です。
それぞれの特徴をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 絶対音感 | 相対音感 |
|---|---|---|
| 音の聴き方 | 単独の音を判別する | 音同士の関係を判別する |
| 基準となる音 | 不要 | 必要 |
| 身につきやすい時期 | 幼少期 | 年齢を問わず鍛えられる |
| 演奏での活用 | 耳コピや採譜など | 演奏・合奏・歌唱など幅広く活用 |
音楽を続けていくうえで特に重要なのは、相対音感です。
楽器を演奏しながら耳を使い、音をよく聴く習慣を身につけることで、年齢に関係なく音感は育っていきます。
「絶対音感がないから…」と心配する必要はありません。
音楽を楽しみながら耳を育てていくことこそ、上達への近道と言えるでしょう。
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