メインコンテンツへスキップ
なぜミとファ、シとドの間には黒鍵がないの?音階の仕組みをわかりやすく解説
  1. Blog/

なぜミとファ、シとドの間には黒鍵がないの?音階の仕組みをわかりやすく解説

·
ソルフェージュ

ピアノを始めたばかりの頃、多くの人が一度は疑問に思います。

「なぜミとファの間には黒鍵がないの?」

「シとドも隣同士なのに、どうして半音なの?」

「そもそも1オクターブを均等に分ければ分かりやすいのでは?」

音楽経験のない方にとっては、とても自然な疑問です。

実際、ドレミファソラシドは数字のように規則正しく並んでいるわけではありません。

しかし、この不思議な並びには長い歴史と、人間の耳にとって心地よい響きを作るための工夫が隠されています。

今回は、ミとファ、シとドが半音になっている理由を初心者向けにわかりやすく解説します。

まず「半音」とは何か

音楽では隣り合う最も近い音の距離を「半音」と呼びます。

ピアノで考えると、

  • ド → ド♯
  • レ → レ♯
  • ミ → ファ
  • シ → ド

はすべて半音です。

鍵盤

つまり、ミとファ、シとドの間の距離は、ドとド♯の間の距離と同じです。

ではなぜ、ミとファ、シとドの間だけ黒鍵が存在しないのでしょうか。

その答えは、現在の鍵盤の形が作られるよりも前に、ドレミファソラシという音階が先に存在していたことにあります。

音楽はもともと7つの音から始まった

現在の西洋音楽では、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの7音が基本になっています。

これは「長音階(メジャースケール)」と呼ばれるものです。

実は最初から12個の音があったわけではありません。

古代ギリシャや中世ヨーロッパでは、人々はまず耳に心地よく響く音の組み合わせを探していました。

その結果、

ドレミファソラシ

という7音の骨格が先にできたのです。

つまり、

12個の音から7個を選んだのではなく、

7個の音が先に存在していた

ということです。

なぜその並びになったのか

長音階の音の間隔は、

全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音

という並びになっています。

ドを基準にすると、

  • ド→レ 全音
  • レ→ミ 全音
  • ミ→ファ 半音
  • ファ→ソ 全音
  • ソ→ラ 全音
  • ラ→シ 全音
  • シ→ド 半音

となります。

この並びは偶然ではありません。

人間が「明るい」「安定している」と感じやすい音程関係を積み重ねると、この形になるのです。

現在の長調の音楽のほとんどは、この構造を土台にしています。

なぜ1オクターブを7等分しなかったのか

ここで別の疑問が出てきます。

「それなら1オクターブを均等に7つに分ければよかったのでは?」

実は、それでは和音が美しく響きません。

例えば、

ドとソ

は非常に安定して聞こえます。

これは音の振動数が単純な比率になっているからです。

ドが100回振動するとき、

ソは約150回振動します。

つまり、

2:3

というシンプルな関係になっています。

人間の耳は、このような単純な比率を心地よく感じます。

もし1オクターブを単純に7等分してしまうと、この関係が崩れてしまいます。

結果として、

和音が濁る 響きが不安定になる 音楽としてまとまりにくい

という問題が起きます。

実は1オクターブは均等に分けられている

ここまで読むと、

「でもピアノには12個の音がありますよね?」

と思うかもしれません。

その通りです。

現代のピアノは実際には、

1オクターブを12個の半音に均等分割しています。

これを「平均律」と呼びます。

つまり現在の鍵盤楽器は、

完全に均等な12分割

になっているのです。

それでもミとファが半音なのはなぜ?

理由は歴史です。

平均律が誕生する前から、

ドレミファソラシ

という音名が使われていました。

そのため、

12個の音を均等に並べるようになった後も、

長年親しまれてきた音階の名前は残りました。

その結果、

ミとファ シとド

の間だけ黒鍵がない現在の鍵盤が定着したのです。

つまり、

音響学的な理由だけではなく、

歴史的な理由

も大きく関係しています。

ヴァイオリンではどうなっている?

ヴァイオリンを学んでいる方は、

「ヴァイオリンには黒鍵がないのにどうしているの?」

と思うかもしれません。

実はヴァイオリンでは、

半音も全音も指の間隔で表現します。

例えば、

  • 1指と2指を離す
  • 1指と2指をくっつける

ことで、

全音と半音を弾き分けています。

そのため、

ミとファ シとド

が半音であることを理解すると、

指の配置も覚えやすくなります。

初心者が最初に学ぶニ長調やト長調でも、この知識は役立ちます。

音楽理論は「なぜ?」から始まる

音楽理論というと難しく聞こえるかもしれません。

しかし、

「なぜミとファの間には黒鍵がないの?」

という疑問は、実は音楽理論の入り口としてとても良い質問です。

音楽は単なる暗記ではありません。

長い歴史の中で、

人間が美しいと感じる響き

を追求した結果として現在の形になっています。

そう考えると、

ドレミファソラシドという当たり前の並びも、少し違って見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

ミとファ、シとドが半音になっているのは、

  • 長音階という音楽の基本構造によるもの
  • 人間が心地よいと感じる音程関係を反映しているため
  • 歴史的に7音の音階が先に作られたため

です。

また、現代のピアノは実際には1オクターブを12個の半音に均等分割した「平均律」を採用しています。

しかし、長い歴史の中で育まれたドレミファソラシドの仕組みは今も残り続けています。

普段何気なく見ている鍵盤にも、実は何千年にもわたる音楽の歴史と知恵が詰まっているのです。

「なぜ?」を楽しめると、音楽はもっと面白くなる

今回ご紹介した、

  • なぜミとファは半音なのか
  • なぜシとドは隣同士なのか
  • なぜドレミファソラシドという並びになったのか

といった疑問は、実はソルフェージュで学ぶ内容にもつながっています。

ソルフェージュというと、

「音大受験のための勉強」 「難しい音楽理論」

というイメージを持たれることもあります。

しかし本来は、

  • 音楽の仕組みを理解する
  • 楽譜を読む力を身につける
  • 音を聴き取る力を育てる
  • 音程やリズムを正確に感じる

ための基礎トレーニングです。

実際、今回登場した「全音」「半音」「音階」といった考え方も、ソルフェージュを学ぶことでより深く理解できるようになります。

ただ楽譜の音を追うだけではなく、

「なぜこうなっているのだろう?」

という視点を持つことで、演奏や読譜はぐっと楽しくなります。

Academy Customizeでは、初心者の方から音高・音大受験を目指す方まで、それぞれの目的に合わせたソルフェージュレッスンを行っています。

音楽の仕組みを理解しながら演奏を楽しみたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

ソルフェージュ・オンラインレッスンについて

著者
吉川 采花
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。

関連記事

自宅で始めるソルフェージュ・オンラインレッスン―プロ仕様の基礎トレーニングを自宅で
·
レッスン日記 ソルフェージュ オンラインレッスン