メインコンテンツへスキップ
緊張って悪いこと?——音楽家の「本番前」の向き合い方
  1. Blog/

緊張って悪いこと?——音楽家の「本番前」の向き合い方

ヴァイオリンのヒント

こんにちは。

音楽教室で日々生徒さんと向き合うなかで、よく聞くお悩みがあります。

「本番が近づくと、緊張で指が震えるんです」

「練習では弾けていたのに、舞台に立つと頭が真っ白に…」

実はこれは、音楽に真剣に向き合っている証拠。でも、できることなら「もっと落ち着いて演奏したい」と思いますよね。

今日は、そんな「緊張」とどう向き合うかについて、音楽家の視点からお話しします。緊張を「なくす」のではなく、「味方にする」ためのヒントになれば嬉しいです。

「緊張=悪いこと」ではない!

そもそも、緊張ってどうして起こるのでしょうか?それは、人前で演奏するという状況が「非日常」だから。

脳や体は「いつもと違うぞ」と感じると、身を守るために準備を始めます。心拍数が上がったり、手に汗をかいたり、息が浅くなったり。これは全部、「集中力を高めるための反応」なんです。

つまり、緊張はあなたが「この舞台を大事にしたい」と思っている証し。だからこそ、「緊張しちゃダメ!」と思わずに、「緊張してる自分、いい感じかも」と受け止めてみましょう。

プロも緊張しています

「うちの子、緊張しやすいんです」と心配される親御さんも多いですが、実はプロの音楽家でも緊張します。

一流のバイオリニストが「本番の前はお腹が痛くなる」と言っていたり、ピアニストが「袖に立つときが一番怖い」と語っていたり。

でも、彼らはその緊張を「演奏に集中するスイッチ」として活かしているんですね。大切なのは、「緊張しないこと」よりも、「緊張しても自分の力を出せること」です。

緊張とうまく付き合う3つの方法

では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

音楽家たちも実践している、効果的な方法を3つご紹介します。

1. 深呼吸でリセット

緊張すると呼吸が浅くなりがち。そんなときは、次の呼吸法を試してみてください:

  • 鼻からゆっくり4秒吸う
  • 4秒キープ
  • 口からゆっくり8秒吐く

これを数回繰り返すだけで、身体の力みがほどけて心が落ち着いてきます。

2. 頭の中でリハーサル

本番のステージ、照明、観客、演奏…それらを頭の中でリアルにイメージしてみましょう。

実際にその場にいるような気持ちで想像することで、脳が「これはもう経験済み」と感じ、本番でも安心して演奏できるようになります。

3. 「いつものルーティン」を作る

例えば:

  • 本番前に必ず飲むハーブティー
  • 同じウォーミングアップ曲を弾く
  • お守りをポケットに入れる

こうした“いつも通り”の行動は、心を落ち着かせる大きな力になります。

緊張を味方にする「日々の過ごし方」

緊張をうまく扱えるようになるには、普段の過ごし方も大事です。

◆ 本番を想定した練習を

練習のときから「お客さんがいるつもり」で弾いてみましょう。家族や友人に聴いてもらうのも効果的です。

◆ 十分な準備をする

練習量が足りないと、自信が持てずに不安になります。

「これだけやったなら大丈夫」と思えるまで、ていねいに準備することが何よりの安心材料です。

◆ 生活リズムを整える

特に本番前日は、よく寝て、よく食べて、リラックスした時間を過ごすのがおすすめ。

疲れた体では、どんなに上手な人でも本来の力は出せません。

おわりに:緊張はあなたの音楽への想いの表れ

緊張は、音楽を大切に思っているからこそ起きる感情です。それを無理に押し殺すのではなく、「ありがとう、来てくれて」と心の中で受け入れてあげてください。

緊張と仲良くなれたとき、きっと音楽はもっと自由に、もっとあなたらしく響きはじめます。

これから本番を迎える皆さんへ。どうか、緊張を「心強いパートナー」にして、素敵なステージを楽しんでくださいね。

♪ 発表会のお知らせ ♪

アカデミーカスタマイズでは、今年も年に一度の特別なステージ、≪アカデミーカスタマイズ発表会≫を開催致します!

日頃の練習の成果を披露し、音楽を通じて仲間とつながる大切な機会。

緊張と向き合いながら、自分自身の成長を実感できる、かけがえのない時間になるはずです。

  • 🎵 日程:2025年8月30日(土)
  • 🎵 会場:Studio Chez Claude
    東京都江東区森下1-5-4 アロンジェ森下201
  • 🎵 お申込みフォーム:こちらをクリック

参加をご希望の方は、7月30日までに上記フォームから演奏曲目等をご登録ください。

たくさんのご参加を心よりお待ちしております♪ 音楽の楽しさを共有する、素敵な一日にしましょう!

著者
吉川 采花
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。

関連記事

ヴァイオリンを習って良かったこと
·
ヴァイオリンのヒント
音楽と言語の深い関係 ― ウィーン留学から得た学び
·
ヴァイオリンのヒント
ヴァイオリンを習おう!でも楽器はどうする?
·
ヴァイオリンのヒント
ぐちゃぐちゃの原因とは【アンサンブル編】
·
ヴァイオリンのヒント
「音楽的に弾く」とは
·
ヴァイオリンのヒント
練習の三種の神器
·
ヴァイオリンのヒント