最近、「留学したいけど、何から始めたらいいかわからない」という相談を受けることが増えてきました。日本国内で学校や師事する先生を探すイメージは湧いても、「留学」となるとハードルが高く感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、留学先を決める前に考えておきたいこと、そして留学先や師事する先生の探し方についてまとめました。留学を検討している方の参考になれば嬉しいです!
筆者紹介
小学生の頃から「いつか海外で音楽を学びたい」と憧れていました。東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業後、オーストリア・ウィーンに留学。ウィーン市立音楽芸術大学(Musik und Kunst Privatuniversität der Stadt Wien)にて、Florian Zwiauer先生のもと修士課程を修了しました。
国内外の講習会に参加しながら、自分に合う先生を探し続けた経験をもとに、リアルな留学準備についてお伝えします。
留学を考える前にチェックしたい5つのこと
1. 留学の目的を明確にする
「楽器を上手くなりたい」「クラシック音楽の本場で学びたい」 —その思い、とても素敵です。
でも、なぜ日本ではダメなのか?なぜ本場でなければならないのか? その理由を一度、掘り下げてみてください。
実際に私が留学前に抱いていた理想と、現地で感じたリアルにはギャップがありました。
- 想定していたメリット: 海外の先生に習えば技術が向上する。
- 現実: 海外の先生=必ずしも良い先生ではない。体格差や教え方の違いに戸惑うことも。
- 想定していたメリット: レベルの高い学生と刺激し合える。
- 現実: レベルの差は日本以上。超一流もいれば、基礎から学び直している人も。
思い描いた理想と違ったときも、「自分が留学に求めるもの」 をはっきり言語化できていれば、学びの軸はブレません。
2. 将来の活動拠点をイメージする
あなたは将来、日本で活動したいですか?それとも海外を拠点にしますか?
例えば、日本で活動したいなら、音楽大学卒業後すぐ留学するよりも、国内で人脈を作ったうえで短期留学 (Postgraduate) する方法もあります。海外拠点を目指すなら、大学院修了を目標にするのも良いでしょう。
5年後、10年後を少しだけ想像してみてください。それによって、留学先や留学期間も変わってきます。
3. 将来の活動スタイルを考える
- ソリストとして活躍したい
- オーケストラ奏者を目指したい
- 室内楽を中心に活動したい
あなたが得意なこと、向いていることは何でしょう? (好きなこと、ではなく「得意なこと」に注目してみるのも大事です。)
オーケストラ奏者を目指すなら、オーケストラ経験豊富な先生を選ぶべきですし、現代音楽に強いなら現代音楽科のある学校も選択肢に入ります。
強みを明確にすると、留学準備がぐっと具体的になります。
4. 留学するタイミングを決める
一般的な留学時期には、以下のパターンがあります。
- 中学卒業後
- 高校在学中
- 高校卒業後
- 大学学部在学中
- 大学卒業後
- 大学院在学中
- 大学院卒業後
日本でのキャリアを築きたい場合、国内の大学・大学院を卒業しておくと有利に働くことも多いです。 一方で、若いうちから海外に出れば、国際コンクールへの挑戦や現地人脈作りがしやすくなります。
あなたにとって最適なタイミングを探しましょう。
目的や将来の方向性が明確になったら、次は留学先を探します。ここでは師事する先生と国の決め方をご紹介します。
留学先の探し方
師事する先生を探す
音楽留学で最も大事なのは、「どの先生に師事するか」です。以下の方法で、自分に合う先生を探してみましょう。
- 紹介を受ける
師事している先生や先輩に相談して紹介してもらう。 - 日本国内の講習会に参加
海外の先生が来日する機会を活用して直接レッスンを受ける。 - 海外の講習会に参加
海外の先生のレッスンを海外で受けることで、現地の空気を感じたり、語学力も試すこともできます。 - コンサートで直接アプローチ
来日した演奏家に楽屋で声をかける方法です。 - SNS・公式サイトから連絡
現代ならではの手段。自分の演奏動画や経歴を添えると、返信が返ってくる確率が上がるかもしれません。
国を絞り込む
「先生」で選ぶのが基本ですが、希望する国から探す方法もあります。
例えば、ドイツのオーケストラに入りたいなら、ドイツの学校を中心に探すのも有効な方法です。
弦楽器奏者の主な留学先:
- イギリス
- アメリカ
- ドイツ
- フランス
- オーストリア
- チェコ
- オランダ
- イタリア
- ロシア
- イスラエル
まとめ|留学は自分自身との対話から始まる
私自身、留学して本当に良かったと心から思っています。ウィーンで弾いたオペラやコンサート、名演奏家たちとの出会いは、一生の財産です。
けれど、留学すれば全てがうまくいくわけではありません。 理想と現実のギャップに悩むこともあります。
それでも、「自分は何を求めて留学するのか」 をしっかり言葉にできたら、必ず大きな成長につながります。
もし留学に興味があるけど、次にどう動けばいいか迷っている方がいたら、ぜひお気軽にご相談ください!