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「音楽的に弾く」とは
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「音楽的に弾く」とは

ヴァイオリンのヒント
目次

ただ音を並べるのではなく、音楽的に弾きましょうと言われたことはありませんか?

「音楽的に弾く」という言葉が抽象的すぎて、どうして良いかわからない プロの演奏と自分の演奏は何かが違うけど、何が違うかわからない 音楽的に弾きたいけれど、アイディアが出てこない そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本日は音楽的に弾く為の2つのアプローチをご紹介します。

「音楽的に弾く」とは

「音楽的に弾く」とはどういうことなのでしょう。 かなり抽象度の高い言葉ですが、一般的には次のように定義づけられるのではないかと思います。

楽譜に書いてある音の強さ、硬さ、音色等に変化をつけて、音に表情をつける作業

同じメロディーでも音の強さや硬さを変えるだけで、全く異なるメロディーのように聞こえます。「プロの演奏と自分の演奏は何かが違うけど、何が違うかわからない」というお悩みは、まさにこの現象が起きていると言えます。同じ高さの音を弾いているのに、音の強さや硬さが違う為に“何かが違う”と感じてしまうのでしょう。

では、音の強さや硬さはどのようにして決めたら良いのでしょうか。 大きく分けて2つの方法が考えられます。

  1. 作曲家が書いた指示に従う
  2. 音符から読み取る

1. 作曲家が書いた指示に従う

まずは作曲家が楽譜に書いた指示通りに弾いてみましょう。

音の強弱(フォルテ、ピアノ等)、強さ(スフォルツァンド、アクセント等)、表情(ドルチェ、アマービレ等)…

作曲家は自分の頭の中にある音を演奏者に伝える為に、沢山の指示を楽譜に書いています。まずはこの指示に従って弾いてみてください。

2. 音符から読み取る

それが出来たら、次は音符から得られる情報を探します。 音符から得られる情報をキャッチする方法は、大きく分けて2つあります。

  1. 楽譜を縦に見る
  2. 楽譜を横に見る

1) 楽譜を縦に見る

「楽譜を縦に見る」というのは、同時になっている音(=和音)から音の強さ、硬さを決める方法です。 音楽の三要素は「リズム、メロディー、ハーモニー」です。 この「ハーモニー」に着目するのが楽譜を縦に見るという方法です。

和音の種類によって人は色々なことを感じとります。 緊張したり、リラックスしたり、痛みを感じたり、暖かい気持ちになったり… 和音の種類と特徴を知ることで、楽譜の音の強さや硬さを決めることができるのです。

2) 楽譜を横に見る

「楽譜を縦に見る」というのは、音と音の距離(=音程)から音の強さ、硬さを決める方法です。 音楽の三要素の「メロディー」に着目するのが楽譜を横に見ると言う方法です。

例えば順次進行(隣の音(2度上か下)に進むこと)で音程が上がっていったら、音の強さも強くなります。 逆に順次進行で音程が下がっていったら音の強さも弱くなります。 音階を始めから終わりまで音量を変えずに弾いたら、不自然に感じるでしょう。

でもこれが半音階(すべて半音の間隔で構成された音階)になったら、音と音の間に摩擦が生まれ、テンションを感じます。

音に表情をつける楽しみ

今回は音楽的に弾く方法についてまとめてみました。

ここまで読んだ方の中には「私は弾くのに必死だから、まだここまで考えられない」と思われた方もいるかもしれません。でもそんな風に技術と音楽的なことを分けて考えてしまうのはもったいない!と私は思います。なぜなら音楽的なことを考えて弾くことで、技術的に難しかったことが簡単になった経験が私にはあるからです。

私の先生は「楽譜の裏を読みなさい」とよくおっしゃっていました。 楽譜に書かれたことから作曲家の意図を汲み取り、音に表情をつけることを求められていました。

子供の頃はなんとなく感覚的に弾いていましたが、楽典や和声を学ぶようになり、自分が「なんとなくこう弾きたい」と思っていたことの理由がわかるようになりました。そして室内楽のリハーサルをする時に、「なぜ自分がこう弾きたいか」をメンバーに理論立てて説明できるようになりました。

音に表情をつけられるようになると、楽器を弾く楽しみが2倍、3倍になります。 ハーモニーやメロディーについて更に興味を持った方はソルフェージュの体験レッスンを受講してみてください。

著者
吉川 采花
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。

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