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楽譜が読めない悩みを解消!ヴァイオリン×ソルフェージュで身につく基礎力
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楽譜が読めない悩みを解消!ヴァイオリン×ソルフェージュで身につく基礎力

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レッスン日記

ヴァイオリンを始めて7か月になる中学生の女の子、Sちゃん。初めて弓を手にしてからまだ日が浅いにもかかわらず、毎回のレッスンに意欲的に取り組んでいます。最初の頃は、楽譜を読むのに時間がかかり、どの音を弾くべきか、どのタイミングで弓を動かすべきかを理解するのに苦労していました。指の運動や弓の動き自体もまだ体に染み込んでいない状態で、楽器に向かうたびに少しずつ戸惑いを感じる様子が見受けられました。

しかし、Sちゃんの成長を支えたのは、スズキ・メソードの教本に加えて、ソルフェージュのテキストを取り入れたことです。使用しているテキストは「子供のためのソルフェージュ 1a」。これは、初心者でも無理なく音楽の基礎を学べる構成になっており、楽譜の読み方やリズム感、音程の取り方を総合的に学習できる教材です。Sちゃんは、ヴァイオリンの練習と並行してこのソルフェージュに取り組むことで、少しずつ譜読みのスピードを上げ、音楽の理解力を高めていきました。

まず、Sちゃんが行っている基本的な練習の順序をご紹介します。

最初のステップは、ヴァイオリンで実際に音を出すことです。楽譜を見ながら音を弾くことで、指の動きと音程を結びつける練習を行います。最初は一音一音丁寧に弾くことから始め、慣れてきたらフレーズごとに弾くことに挑戦します。この段階では、弓の動かし方や指の置き方、左手のポジションの取り方など、演奏の基礎となる動作を確実に身につけることが重要です。

次のステップは、拍をたたきながら歌う練習です。これは、単純に音を弾くだけではなく、リズムと音程を身体で感じるためのトレーニングです。Sちゃんの場合、まず机の上で手をたたいてリズムを確認し、拍を正確に感じることから始めました。拍に合わせて「ドレミ…」と声に出すことで、音程を耳で確認しながらリズムを体に覚えさせます。最初は声がずれてしまうこともありますが、繰り返し行うことで徐々にリズムと音程が一致し、楽譜に書かれた音符の意味を理解しながら演奏できるようになります。

この二段階の練習を繰り返すことで、Sちゃんは少しずつ音程の安定性を獲得していきました。以前は、弓を動かすタイミングや指のポジションを意識するだけで精一杯で、音程を正確に取ることまで気が回らないこともありました。しかし、ソルフェージュの練習を通して、指の感覚と耳で聴く音程が結びつくようになったことで、弾く音がよりクリアになり、楽譜に書かれた音を正確に再現できるようになったのです。

さらに、Sちゃんの進歩を促したのは「反復練習」と「段階的な挑戦」です。例えば、最初の頃は一音ずつ確認しながら弾き、次に二音、三音とフレーズをつなげて弾く練習を行いました。フレーズごとに区切ることで、難しい箇所でつまずくことが少なくなり、集中力を維持しながら練習を続けられるようになりました。また、フレーズをつなげる際には、リズムを意識しながら声に出して確認することも忘れません。これにより、演奏の流れを頭と身体で理解し、次の音に自然に移る力を養うことができました。

Sちゃんはソルフェージュの練習を始めたことで、スズキの教本に出てくる新曲も問題なく譜読みできるようになりました。以前は新しい曲を見ると戸惑い、指の動きや弓の使い方に意識が集中してしまい、音程やリズムまで手が回らないことがありました。しかし、ソルフェージュで培った音感とリズム感のおかげで、初見でも音程を正確に捉え、リズム通りに演奏できるようになったのです。この変化はSちゃん自身に大きな自信をもたらし、練習のモチベーションも向上しました。

さらに注目すべき点は、ソルフェージュを通して「音楽の理解力」が向上したことです。楽譜を読むだけでなく、音楽の構造やフレーズの流れ、強弱や表情の付け方などにも意識が向くようになりました。Sちゃんは、ただ指を動かすのではなく、音楽の意味を考えながら演奏するようになり、演奏に深みが出てきました。これは、単に技術を磨くだけでは得られない、音楽的な感性の成長を示す重要なポイントです。

アカスタでは、このようなソルフェージュのレッスンも受講可能です。楽譜を読む力を育てることは、ヴァイオリンのレッスンの進度を格段に速めるだけでなく、音楽全体の理解力を深めるためにも非常に有効です。ソルフェージュを取り入れることで、単に楽器の演奏技術を上げるだけでなく、音楽を「感じて表現する力」を育むことができます。

Sちゃんの事例からもわかるように、初心者のうちからソルフェージュを取り入れることは非常に効果的です。中学生という年齢は、理解力も集中力も伸びやすい時期であり、音楽の基礎をしっかりと身につけるには最適なタイミングです。ソルフェージュを通じて、音楽の理論やリズム感、音程感覚を身につけることは、将来の演奏の土台を作ることにつながります。

最後に、Sちゃんの練習の取り組み方から得られるポイントを整理しておきます。まず、楽譜を読むことを恐れず、段階的に練習すること。次に、拍をたたきながら歌うことで、リズム感と音程感を体で覚えること。そして、反復練習と段階的な挑戦を繰り返すことで、確実に演奏能力を伸ばすことができます。これらの取り組みは、初心者だけでなく、中級者や上級者にも応用できる普遍的な練習法です。

Sちゃんの成長は、日々の努力と適切な学習方法の組み合わせによって実現されました。ヴァイオリンを始めたばかりの生徒さんや、楽譜に苦手意識を持つ生徒さんにとって、ソルフェージュは非常に心強いサポートとなります。アカスタでは、こうした基礎力をしっかり育てるためのレッスンを提供していますので、楽譜の読み方に不安がある方や、演奏の理解力を高めたい方はぜひご検討ください。

Sちゃんの事例を通してわかるように、ソルフェージュを取り入れることで、単なる楽器の練習が「音楽を理解し、感じ、表現する力」を育てる時間に変わります。最初は少し時間がかかるかもしれませんが、着実に取り組むことで譜読みが速くなるだけでなく、演奏の質も向上します。ヴァイオリン学習の初期段階でソルフェージュを組み込むことは、将来の演奏力の伸びに大きな影響を与える重要なポイントと言えるでしょう。

著者
吉川 采花
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程修了。Hamamelis Quartett 第二ヴァイオリン奏者。
2021年、音楽レッスンサービス Academy Customizeを立ち上げる。現在は東京を拠点に演奏活動をしながら、全国各地で後進の指導にあたっている。

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